【AdSense】収益向上のためのKPI設計とLooker Studioダッシュボード構築ガイド

Google AdSenseの収益向上を実現するためには、戦略的なKGI・KPIの設定とその進捗管理が不可欠です。本記事では、Google Analytics、Google AdSense、Google Search Consoleを連携し、Looker Studioを活用したダッシュボードで全体のパフォーマンスを可視化する方法を詳しく解説します。

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KGI・KPI設定の基本方針

KPI(およびKGI、KSFなど)の設定は、目標達成に向けた進捗を定量的に把握し、必要な改善アクションを迅速に実施するためのツールです。
各種指標の詳細な説明は以下のページも参照してください。

KPIツリーで利用するセッションやページビューの指標は、エンゲージメントセッションを基準にしています。つまり、単純なセッション数やページビュー数ではなく、実際にユーザーが一定のアクションを行ったセッションのみを集計対象とすることで、より正確なユーザーの関与度やコンテンツの効果を把握できるようにしています。

たとえば、ページビューの値は、エンゲージメントが発生しなかったセッションによる表示回数を差し引いた値を用いて計算されています。

  • セッションとは、ユーザーがウェブサイトまたはアプリを操作している間のことです。
  • エンゲージメント セッションとは、次のいずれかの条件を満たすセッションを指します。
    • 10 秒以上継続する
    • キーイベントが発生する
    • ページビューまたはスクリーン ビューが 2 回以上発生する
https://support.google.com/analytics/answer/12195621

Looker Studioと各データソースの連携

収益向上のためのKGI・KPI管理は、Looker Studio上で行います。利用する主なデータソースは以下の通りです。

  • Google Analytics
  • Google AdSense
  • Google Search Console

Google AdSenseとの連携には「AdSense Connector」を利用し、以下のページからコネクタを承認してデータソースに追加してください。

Looker Studioでの統合の設定

Looker Studio の「統合」機能とは、複数のデータソースを結合条件(共通する識別子)で結びつけ、1つのデータセットとして扱えるようにする機能です。

読了率計測用の統合

読了率の測定を行うためには、まず、コンテンツ末尾要素の表示回数が正しく計測される設定が必要です。これにより、ユーザーがコンテンツの最後までスクロールして読んだかどうかを把握できます。詳細な設定手順については、以下のページを参照してください。

読了率計算用の統合として、下記の設定で統合を作成してください。

  • 統合名:読了率計算用統合
  • 結合演算子:内部結合
  • 結合条件:日付(Google Analytics) & 日付(Google Analytics)
  • テーブル1(Google Analytics)
    • ディメンション:日付
    • 指標:GTM_imp_element_count
    • フィルタ:一致条件 | GTM_imp_element | 次に等しい (=) | article-footer
  • テーブル2(Google Analytics)
    • ディメンション:日付
    • 指標:表示回数、エンゲージのあったセッション数、セッション

AdSense & Analyticsの統合

一部指標では、Google AdSenseとGoogle Analyticsのデータを組み合わせた計算フィールドを作成します。下記の設定で統合を作成してください。

  • 統合名:AdSense & Analytics
  • 結合演算子:内部結合
  • 結合条件:Date(Google AdSense) & 日付(Google Analytics)
  • テーブル1(Google AdSense)
    • ディメンション:Date
    • 指標:Clicks、Estimated Earnings、Impressions
  • テーブル2(Google Analytics)
    • ディメンション:日付
    • 指標:表示回数、エンゲージのあったセッション数、セッション

KPIツリー全体図と指標の詳細

KPIツリー全体図

以下のKPIツリーの全体図にしたがって指標を設定していきます。

KGI(重要業績評価指標)とKSF(重要成功要因)

Google AdSenseはインプレッション単価を基準として収益が決まるため、収益を向上させるには広告のインプレッション数を増やすか、広告単価を上げるという2つの方法が考えられます。

KGI 推定収益

  • データソース:Google AdSense
  • 指標名:推定収益
  • 備考:最終目標である収益の達成状況を示す。

KSF インプレッション数の向上

広告の表示回数を増やすためには、サイトのページビューを向上させることが重要です。

  • 下位KPI:ページビュー

KSF 単価の向上

広告単価を向上させることで、同じインプレッション数でもより高い収益を得ることができます。

  • 下位KPI:ページのインプレッション収益

KPIツリー:インプレッションの向上ツリー

単純な広告表示回数ではなく、ページビューを上位のKPIとして採用する理由は、必要以上に広告数を増やしてユーザーエクスペリエンスが損なわれるリスクを回避するためです。

KPI ページビュー

  • 上位KSF:インプレッション数の向上
  • 下位KPI:セッション、回遊率
  • データソース:Google Analytics
  • 指標名:計算フィールド【合計】
  • 計算式:表示回数 – (セッション – エンゲージのあったセッション数)
  • 備考:エンゲージメントが発生しなかったセッションによる表示回数を除く。

KPI セッション

  • 上位KPI:ページビュー
  • 下位KPI:検索からの流入などの各チャネルからの流入
  • データソース:Google Analytics
  • 指標名:エンゲージのあったセッション数

KPI 回遊率

  • 上位KPI:ページビュー
  • Action Plan:サイトナビゲーション、サイト構成、ページ構成の改善
  • データソース:Google Analytics
  • 指標名:計算フィールド【合計】
  • 計算式:(表示回数-(セッション-エンゲージのあったセッション数))/エンゲージのあったセッション数
  • 備考:エンゲージメントセッションあたりのページビュー。

KPI 検索からの流入

  • 上位KPI:セッション
  • 下位KPI:検索平均掲載順位、検索合計表示回数、検索平均クリック率
  • データソース:Google Analytics
  • 指標名:エンゲージのあったセッション数【フィルタあり】
  • フィルタ:一致条件 | セッションのデフォルトチャネルグループ | 次に等しい (=) | Organic Search
  • 備考:各チャネルからの流入は流入のバランスを見てKPIとして採用するかを検討する。検索(Organic Search)の他、ソーシャルメディア(Organic Social)、他サイトからのリンク(Referral)などでフィルタ可能。

KPI 検索平均掲載順位

  • 上位KPI:検索からの流入
  • Action Plan:SEO全般の改善
  • データソース:Google Search Console
  • 指標名:Average Position

KPI 検索合計表示回数

  • 上位KPI:検索からの流入
  • Action Plan:ページのキーワードの改善
  • データソース:Google Search Console
  • 指標名:Impressions
  • 備考:検索平均掲載順位にくらべて検索合計表示回数が低い場合は、検索ボリュームが小さいなどが考えられる。

KPI 検索平均クリック率

  • 上位KPI:検索からの流入
  • Action Plan:ページタイトル、メタディスクリプションの改善
  • データソース:Google Search Console
  • 指標名:Clicks
  • 備考:低い場合は表示されていてもクリックされないということなので、検索結果から見える項目を改善する。

KPIツリー:単価の向上ツリー

広告単価の向上を狙ったKPIツリーでは、単なる広告のインプレッション収益ではなく、ページ全体のインプレッション収益を上位のKPIとして設定しています。これは、広告配置やコンテンツの質、そしてユーザーエクスペリエンスなど、複数の要因が総合的に収益に寄与している現状を反映するためです。

Google AdSenseの広告単価の設定方法については詳細が公開されていません。しかし、Googleは広告単価の向上には広告主のコンバージョンへの貢献が重要であると述べています。
サイト運営者が関与できるポイントとして、広告のクリック率や広告の視認性があります。広告が十分に視認され、適切に配置されているかが、収益向上のカギとなります。

KPI ページのインプレッション収益

  • 上位KSF:単価の向上
  • 下位KPI:ページあたりのインプレッション数、インプレッション収益
  • データソース:AdSense & Analytics【統合】
  • 指標名:計算フィールド【平均値】
  • 計算式:Estimated Earnings/(表示回数-(セッション-エンゲージのあったセッション数))*1000
  • 備考:ページビュー1000回あたりの収益。

KPI ページあたりのインプレッション数

  • 上位KPI:ページのインプレッション収益
  • 下位KPI:読了率、カバレッジ
  • データソース:AdSense & Analytics【統合】
  • 指標名:計算フィールド【平均値】
  • 計算式:Impressions/(表示回数-(セッション-エンゲージのあったセッション数))
  • 備考:ページあたりの広告表示回数の平均値。

KPI インプレッション収益

  • 上位KPI:ページのインプレッション収益
  • 下位KPI:広告平均クリック率、広告アクティブビュー視認可能率
  • データソース:Google AdSense
  • 指標名:Impressions RPM
  • 備考:広告表示1000回あたりの収益。

KPI 読了率

  • 上位KPI:ページあたりのインプレッション数
  • Action Plan:コンテンツ内容、ページ構成改善
  • データソース:読了率計算用統合【統合】
  • 指標名:計算フィールド【平均値】
  • 計算式:GTM_imp_element_count/(表示回数-(セッション-エンゲージのあったセッション数))
  • 備考:コンテンツ末尾の計測可能要素まで到達する割合。

KPI カバレッジ

  • 上位KPI:ページあたりのインプレッション数
  • Action Plan:コンテンツジャンル、広告表示ジャンルの検討
  • データソース:Google AdSense
  • 指標名:Ad Requests Coverage
  • 備考:広告リクエストに対して実際に配信された広告の割合。コンテンツジャンルがニッチだったり、広告で特定ジャンルをブロックしていると十分な広告配信がないため下がる傾向がある。

KPI ページあたりの広告クリック率

  • 上位KPI:インプレッション収益
  • Action Plan:コンテンツのジャンル、広告表示ジャンルの検討、ページ構成の改善
  • データソース:AdSense & Analytics【統合】
  • 指標名:計算フィールド【平均値】
  • 計算式:Clicks/(表示回数-(セッション-エンゲージのあったセッション数))
  • 備考:広告をクリックするとページ遷移してしまうのでページ単位で計測する。

KPI 広告アクティブビュー視認可能率

  • 上位KPI:インプレッション収益
  • Action Plan:ページ構成の改善
  • データソース:Google AdSense
  • 指標名:Active View Viewability
  • 備考:広告インプレッションの内、アクティブビューとなる条件(50%以上かつ1秒以上表示)を満たす割合。

まとめ

Google AdSenseの収益向上には、KGI・KPI・KAIなど多層の指標が必要です。
Looker Studioを活用して各種データソース(Google Analytics、AdSense、Search Console)のデータを統合し、ダッシュボードで進捗を可視化することで、戦略的な改善アクションが可能になります。
本記事で紹介した統合設定とKPIツリーを参考に、効果的なデータ分析と最適なアクションプランを策定してください。

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