Google AdSenseは手軽に導入できる広告収益化手段ですが、広告単価(CPM: 1,000回表示あたりの収益)が非常に低い広告が表示されることも少なくありません。時には1円といった単価になることもあり、「これでは収益にならない…」と感じることもあるでしょう。
しかし、Google Ad Manager (GAM) を利用している場合、この低単価なAdSense広告が表示されないように「最小価格(フロアプライス)」を設定することができます。これにより、広告枠の収益性を改善できる可能性があります。
この記事では、Google Ad ManagerでAdSense広告に対して最小価格を設定する具体的な方法を2つご紹介します。
AdSense広告の単価と最小価格設定のメリット
前述の通り、AdSense広告のCPMは数百円から時には1円までと、非常に大きな幅があります。最小価格を設定する最大のメリットは、この極端に単価の低い広告の表示を抑制できる点にあります。
一定の単価以下の広告を表示させないことで、結果的に広告枠全体の平均CPMを高め、収益性の向上につながる可能性があります。ただし、価格を高く設定しすぎると表示される広告が減り、かえって収益が下がる可能性もあるため、適切な価格設定が重要です。
価格設定ルールで最小価格(フロアプライス)を設定する
一つ目の方法は、「統一価格設定ルール」を作成し、AdSense広告を含む特定の広告リクエストに対して最小CPM(フロアプライス)を適用する方法です。
設定手順
- STEP 1
メニューから「在庫 > 価格設定ルール」を選択します。
「新しい統一価格設定ルール」をクリックします。 - STEP 2
名前: ルールの内容が分かる名前を設定します。
ターゲティング: どの広告リクエストにこのルールを適用するか設定します。広告ユニット、地域、デバイスなどで細かく指定できますが、今回は全ての広告に共通の最小価格を設定するため、デフォルト(全ての在庫、全ての地域などが選択された状態)のままとします。
料金設定: 「すべてに価格を設定する」「最小価格を設定する」を選択します。
ボックスに最小CPMを入力します。どの程度の価格に設定すべきかは、AdSenseの過去のレポートなどを参考に慎重に決定しましょう。高く設定しすぎると広告が表示されなくなるリスクがあります。
「保存」をクリックします。
これで、指定したターゲティング条件に合致する広告リクエストに対し、設定した最小価格が適用されるようになりました。
価格設定ルールの注意点
- 最小価格保証ではない
この設定は「設定した価格以上の広告が表示される」ことを保証するものではありません。あくまで「AdSense(や他の対象となる広告ソース)が提示したCPMが設定した最小価格未満だった場合に、その広告が表示されなくなる」という機能です。結果的に、広告が表示されずに空白になる可能性もあります。 - 適用対象
このルールで設定した最小価格は、AdSense広告のほか、広告申込情報タイプが「価格優先」「ネットワーク」「バルク」のものにも適用されます。(Ad Exchangeも対象ですが、無料版Ad Managerでは通常意識する必要はありません)
【推奨】広告申込情報の仮想CPMで実質的な最小価格を設定する
より実践的で推奨される方法は、AdSenseと競合させたい他の広告申込情報(例: 別のアフィリエイト広告など)に「仮想CPM (vCPM)」を設定する方法です。
設定手順
- STEP 1
Ad Managerのメニューから「配信 > 広告申込情報」を選択し、AdSenseと競合させたい(AdSenseの代わりに表示させたい)広告申込情報をクリックします。
- STEP 2
「レート」の項目で「仮想 CPMを設定」を選択し、ボックスに仮想的なCPM単価を入力します。この値が、AdSense広告に対する実質的な「最小価格」の基準となります。
「保存」をクリックします。
これで、指定したターゲティング条件に合致する広告リクエストに対し、設定した最小価格が適用されるようになりました。
仮想CPM設定のメリットと仕組み
この方法の最大のメリットは、低単価なAdSense広告の代わりに、設定した別の広告(例えば単価の高いアフィリエイト広告など)を表示させることで、広告枠を有効活用し、収益機会の損失を防げる点です。
これは、Ad Managerの「ダイナミックアロケーション」という機能によって実現されます。広告が表示される際、Ad ManagerはAdSense広告の推定CPMと、仮想CPMが設定された広告申込情報のレートを比較します。
- AdSenseの推定CPM > 仮想CPM → AdSense広告が表示される
- AdSenseの推定CPM ≦ 仮想CPM → 仮想CPMを設定した広告申込情報の広告が表示される
つまり、仮想CPMとして設定した値が、AdSense広告が表示されるための「最低ライン」として機能するわけです。
仮想CPM設定の注意点
- 競合相手がいなくなると機能しない
この方法は、あくまで「AdSense」と「仮想CPMを設定した広告申込情報」が競合している場合に有効です。例えば、仮想CPMを設定した広告申込情報が、1ページあたりの表示回数上限などに達して配信されなくなった場合、AdSense広告は(たとえ単価が仮想CPM以下であっても)表示される可能性があります。完全に低単価AdSenseを排除できるわけではありません。
まとめ
Google Ad ManagerでAdSense広告に最小価格を設定する2つの方法を紹介しました。
- 価格設定ルール:
- メリット:特定の条件(ターゲティング)に対して直接的に最小価格を設定できる。
- デメリット:最小価格以下の広告は表示されなくなり、空白になる可能性がある。
- 広告申込情報の仮想CPM:
- メリット:低単価AdSenseの代わりに別の広告を表示でき、広告枠を有効活用できる【推奨】。ダイナミックアロケーションにより収益性の高い方が選ばれる。
- デメリット:競合する広告申込情報が配信されなくなると、実質的な最小価格として機能しなくなる場合がある。
多くの場合、2つめの方法である「仮想CPMを設定する」アプローチが、収益機会を逃さず広告枠を有効活用できるため、より実践的で推奨される方法と言えるでしょう。
どちらの方法を選択するにしても、AdSenseのレポートなどを参考に、適切な価格を設定することが重要です。設定後はパフォーマンスを注視し、必要に応じて価格を調整していくことをお勧めします。
Google Ad Managerの使い方に関する他の記事は、以下のページにまとめています。
より応用的な使い方も紹介していきますので、よろしければ見てみてください。
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