日本語フォントの作成時、漢字をどこまで含めるかという課題は非常に悩ましいものです。
JIS水準、常用漢字、教育漢字、人名用漢字など、さまざまな区分や頻出漢字の調査を基に検討する必要があります。
しかし、複数の区分での絞り込み結果を一覧できるページや資料はなかなか見当たりません。
そこで、これらの情報を整理し、さまざまな区分で絞り込み可能な「JIS漢字一覧表」を作成しました。
このファイルでは、フォント作成時の進捗率の管理も可能です。ぜひ、活用してください。
さまざまな漢字区分
漢字にはさまざまな区分があります。
今回作成したファイルで採用した区分を説明します。
いずれも2024.12時点のものです。
- JIS水準
日本工業規格(JIS)で規定された漢字のセット。
主にコンピュータで使用する文字コード体系に基づき、第1水準と第2水準で合計で約6,000字以上を含む。 - 常用漢字
日常生活で一般的に使用されるとされる漢字。
現在2,136字が指定され、教育や行政文書などでの基準となる。 - 教育漢字
小学校で学習する漢字。
常用漢字の中から1,026字が指定され、学年別に配分されている。 - 人名用漢字
名前に使用可能な漢字。
常用漢字に含まれない漢字の中から、法務省が定めた863字が指定されている。 - 頻出漢字
文化庁が調査した文書中で頻繁に使われる漢字。
国語施策の基礎データとして収集された約2,000字程度までを区分として利用。
ダウンロード
JIS漢字一覧表はエクセル形式で提供しています。
下記リンクからダウンロードしてください。
※データは2024年12月時点のものです。
JIS漢字一覧表
1 ファイル 1.10 MB
ファイルの内容
JIS漢字一覧表シート
漢字はUnicode順で並んでおり、以下の項目での絞り込みが可能です。
- JIS水準
含まれる場合、第1~4水準と表示されます。 - 常用漢字
含まれる場合、「常用」と表示されます。 - 教育漢字
含まれる場合、「教育」と表示されます。 - 人名用漢字
含まれる場合、「人名」または「異体」と表示されます。「異体」は異体字であることを示します。 - 頻出漢字
頻出順位(文化庁調査)の範囲が「500」「1000」「2000」で表示されます。 - 実装
実装状況を以下から選択可能です。- 「-」: 実装見送り
- 「未」: 未実装
- 「済」: 実装済み
- 「グリフ転用」: 同一グリフファイルを別字で使いまわす場合
- 備考
作業時のメモやグリフ転用時の情報を記載します。
実装率シート
作業進捗率と各漢字区分のカバー率を確認できるシートです。
「JIS漢字一覧表シート」の「実装」列を参照し、以下のルールで集計します。
- 「未」「済」「グリフ転用」
実装予定としてカウント - 「済」「グリフ転用」
実装済みとしてカウント
おわりに
この記事では、JIS漢字一覧表の活用方法とその詳細を紹介しました。
フォント作成における漢字選定は非常に重要な作業ですが、このファイルを使うことで、必要な漢字を効率的に選び、進捗状況をしっかりと管理できるようになります。
特に、複数の区分で絞り込みや、実装進捗が一目で分かる点は、作業をスムーズに進めるために役立つと思います。
ダウンロードリンクからファイルを手に入れ、作業を進める際に役立てていただけると幸いです。
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